丸山悟さん/屋久島環境文化研修センター
屋久島の”当たり前”を大切に。自然を伝える施設で働くインストラクター
屋久島の多様な自然をフィールドに、様々な角度から環境学習を行う”屋久島環境文化研修センター”。世界自然遺産のベースとなった『屋久島環境文化村構想』の”人と自然との共生と循環”の理念を体験してもらおうと、季節ごとの”星空観察会”や”植物や昆虫に触れるイベント”、屋久島・口永良部島の”里めぐりツアー”など、子供から大人まで、四季を通して屋久島や口永良部島の自然を体感できる沢山のイベントを開催している。
インストラクターとして働く丸山悟さんは、長野県出身。屋久島へ移住したきっかけは、島内にある通信制高校の教師として赴任したことだった。屋久島で働く中で、もっと屋久島と関わりたいとの思いが募り、屋久島環境文化研修センターのインストラクターに応募。今年で三年目を迎える。
自然の大切さをみんなで共有したい
そんな丸山さんは、大学生のときに青年海外協力隊の一員として、アフリカで現地の子供達の支援にあたっていた。緑のほとんど無いサハラ砂漠に囲まれた土地で二年間過ごし、帰国して一番驚いたのは、日本の自然の豊かさだったという。
「日本に帰り着き、いたるところで緑が生い茂っている光景を目にしたとき”日本ってすごい”と日本の美しさを感じました。それがきっかけで”自然に関わる仕事がしたい”と思うようになったんです」
その思いを胸に自然豊かな屋久島に移住してからは、島に当たり前にある自然の大切さをみんなで共有できればと、自然の案内などを行っている。また、最近では、屋久島高校の生徒らが企画の段階から携わりインストラクター達と一緒にセミナーを作る、という新しい取り組みも。屋久島高校の活動に島内の幼小中学校が連動していくことで、屋久島の魅力を島内外に発信できると感じるという。
「さらに学校教育の中に環境学習が組み込まれていくと島の魅力が増していく、と感じます。僕たちも、積極的に島内の学校と協力体制を取っていきたいですね」
現在は、同じく「屋久島が大好き」という奥様との間に娘さんを授かり、親子3人で屋久島で暮らせていることだけで幸せだと語る。
「娘が生まれてから特に、”もっと子供達と自然の豊かさを共有したい”、と思うようになりました。屋久島に住んでいると、自然は”当たり前のもの”に感じてしまいますが、島外の人にとってこの自然は、驚くほど豊かなものです。でも島の人が持つ”当たり前”だと思う感覚も素敵なことだな、と感じますね。森に立つ木々、透明で美味しい水、美しい夕日、これらは全て島にとっては”当たり前のこと”ですが、それを大切に思う気持ちを、みんながずっと持ち続けていられたらいいですね」
きっとこの先も丸山さんは、この島にある”当たり前”を、丁寧に伝え続けていくのだろう。
(取材: Written by 散歩亭 緒方麗)
屋久島環境文化研修センター
- 鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2739−343
- 0997–46−2900
- http://www.yakushima.or.jp/static/learning.php