渡邊太郎さん/屋久島ガイドオフィス山岳太郎 代表
縄文杉が発見され世に広く知られててから、50年が経った。それまで深い森の奥に、「独り」立っていた縄文杉は、1993年に世界自然遺産に登録され、屋久島のシンボルとなった。今では年間6万人近い登山客が、縄文杉を目指す。
ガイドの渡邊太郎さんは、東京都出身。16年ほど前に、屋久島に移住した。大学時代にニュージーランドに留学したことがきっかけで自然に魅せられ、自然の近くに住みたいと思い屋久島へ。
現在は“山岳太郎”というガイド会社を運営し、屋久島の山や森、カヤックツアーなどを主催している。
“山岳太郎”は安房集落にあり、登山用品のレンタルもしている。
「縄文杉をほめたたえるだけじゃなく、それ以外の屋久島の魅力を知ってもらうためのイベントにしよう」
その趣旨のもと、2017年は「縄文杉発見50周年記念イベント」が開かれた。
その一つに“ボルダリングフェス”がある。
山の奥深くに入らなくても、里に近い自然をフィールドにしてする、アクティビティ。集落の間近にまで自然が迫る、屋久島にはぴったりのイベントだ。
世界的なクライマーも参加するなど大盛況だった。
そしてもう一つ、島の子供たちが参加するイベントも開催された。
実は、意外にも屋久島の子供たちは、縄文杉を見たことのない子が多い。
山を知り尽くしているガイドたちがタッグを組み、未来の屋久島を創る子供たちに、島のシンボルを見せる取り組みだ。
当日は天候にも恵まれ、雪景色の中を歩くことができたという。
これは島の観光に携わる人たちの、「横のつながり」を増やしたいという目的もあった。
縄文杉発見50周年記念イベントは、これからの屋久島を考えるきっかけになった。
これまで島の中でバラバラに動いていた職種の人たちが繋がり、屋久島の価値を改めて確認する。
「このイベントを通して、屋久島には沢山面白い人がいるんだということを知りました!」
渡邊さん自身が新しい島の魅力に気付いたイベントだった。
「これから自然はもちろん、人の面白さも伝えていきたい」
“縄文杉に会いに行く”だけでなく“屋久島に住む人たちに会いに行く”。
そんな「屋久島らしい観光」を目指す。
MBCラジオ「やくしまじかん」 2017年12月30日OAより