福留千穂さん/屋久島町公認ガイド「屋久島ひとやすみ」
この夏、8年勤めたガイド会社から独立した福留千穂さんの屋号は「屋久島ひとやすみ」。
屋久島の自然の中に身を置いて、「ひとやすみ」する喜びは、福留さんが移住する大きな原動力だった。
生まれも育ちも鹿児島県。県内の小中学校で養護教諭として14年間、子どもの心身の健康に携わってきた。お隣、種子島の中学校に赴任していた時、週末、時間ができると屋久島に船で渡った。屋久島の森の中に身を置くと、心と身体が元気になり、活力が湧いてくる。
「そんな体験のお手伝いをしたい」と、2014年に退職し、屋久島に移住。「屋久島野外活動センター」でガイドとして研さんを積んできた。
そんな福留さんの「屋久島ひとやすみ」のホームページを訪れると、最初に目に飛び込んでくるのは、鮮やかな抹茶色の「ズアカアオバト」の写真。おっとりとした性格の写真に収めやすい鳥だ。
「森歩き」や「登山」に並んで、屋久島のガイドツアーには珍しい「とりさんぽ」というバードウォッチングコースも設けた。
本人は「趣味」というものの、これまでに撮影した屋久島の野鳥は180種類。SNSには、ドラマチックな野鳥の写真が並ぶ。屋久島のガイドブックや図鑑に野鳥写真を提供したり、webマガジンに野鳥コラムを連載するほどの腕前だ。
屋久島は冬でも葉を落とさない常緑樹が多く、バードウォッチングには不向きともいえるが、「早朝の森で耳をすませ、鳥の姿を探す作業がいいんです」と目を輝かせる。
初夏は巣立ち、冬は渡り鳥など、鳥を通じて季節のめぐり、命の移ろいを感じる島暮らし。
「山頂に立つ喜びもあるけれど、道中のおもしろさを伝えられたら」と、意気込みを語る。
屋久島の自然で羽を休め、ひとやすみして、飛び立つ。旅人を迎える準備はできている。
屋久島ひとやすみ
http://chihofuku.com/