後藤慎さん/屋久島観光協会会長・屋久島シーサイドホテル社長

今こそ屋久島が変わるチャンス!

「屋久島は、他の離島では絶対にできない、”屋久島だからできること”が沢山あります。この島はまだまだ可能性を秘めています」

後藤 慎さん/屋久島観光協会会長・屋久島シーサイドホテル社長

そう語るのは、屋久島シーサイドホテル代表取締役社長、そして屋久島観光協会会長の後藤慎さん。前社長であるお父様が経営していたホテルを32歳のときに引き継いだ。後藤さんは、鹿児島県霧島市の出身だが、お父様のお仕事の関係で、高校入学を機に屋久島へ移住。進学で島外へ出て行く若者が多いなか、島外から島の高校へ入学するという学生は少なく、周囲にとても驚かれたという。その後、一度島を出て、再度島に戻り家業を継ぐことになった。

「ホテル事業を継ぐにあたり、父から言われたことは”うちの大事な従業員から社長として認めてもらえるように頑張りなさい”ということでした。右も左もわからなかった私は、従業員に助けられ、”社長”として育ててもらいました」

そんな後藤さんは、平成29年6月に屋久島観光協会会長に就任。近年、屋久島はひと頃のピーク時に比べて、入り客数が落ち着きを見せている。そんななか、重なる不祥事や災害など様々な問題が起こり、観光協会としての対応を迫られることも少なくない。後藤さんはそんな悩ましい問題を前に、「今こそ屋久島が変わるチャンス」だと感じているという。

「これまで屋久島の観光は、縄文杉や白谷雲水峡などの山岳部に頼りきりになっていました。しかし、今こそ、自分たちの足元を見直す時期が来ているんじゃないでしょうか」

課題が見えたからこそ、前に進む力に!

屋久島はこれからどこに向かうのか?お客様がストレスなく観光できる島になっているのか?正確な入り客数を把握することや、それに伴う対処、インフラの整備、外国人がストレス無く観光できているか? 後藤さんは、課題が見えた今こそ、変わる勇気が必要だと語る。

「例えば、僕たち商売人は、命をかけて商売をしています。安易な気持ちでお客様をお迎えすることはできませんから。お客様に喜んでもらうために、これまでやってきた事を改善しようとするのは容易いことではありません。ですが、”できない”という理由があるとすれば、せいぜい5つぐらいしか出てこないものです。まずはそれを一つずつ取り組んでいくことですね」

世界遺産から26年経ち、屋久島は、そろそろ次の一手を考えなければならない時期に来ているのかもしれない。

(取材:Written by 散歩亭 緒方麗)

屋久島シーサイドホテル

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