ハチ暮らし
この時期 ニホンミツバチの養蜂をやっている我が家は大忙しです。
“分蜂”といって巣に新しい女王蜂が生まれると古い女王蜂が何万匹という群れを連れて巣から飛び立っていきます。
雨上がりの晴れた日の朝に起こりやすく、外に出ると空一面が蜂たちで覆われています。
何万匹という空を覆い尽くすほどの蜂たちは一見なんの規則性もないように見えますが、しばらく見ていると女王蜂を中心とした一つの大きな群となって近くにある木や軒下などに固まって集まってゆくのです。
集まって大きくなったその塊は”蜂玉”と言われ、最初はバラバラだったその蜂玉も30分もすればみんな同じ方向を向いてきれいに整列してしまいます。
そして次の住処となるような場所を求めてそこで待機しているのです。
僕らはその塊となった蜂玉を捕まえて違う巣箱に入れる、そうすると分蜂の完成です。
女王が気に入ればそのまま住んでくれるし、気に入らなければその巣から出ていってしまいますが蜜蝋や蜂蜜の甘い香りの残った古い巣箱を使っているせいか、これまでの分蜂は100発100中。
年によっては1箱だったものが7箱まで増えたこともあります。
”今日はゆっくりしよう”などと油断していると突然この分蜂が始まってしまうのでスローライフのはずの田舎生活は、なんとも忙しい。
僕たちにとってミツバチは猫や鶏たちと同様家族のような存在です。
養蜂家というよりもミツバチが大好きだからうちに居候してもらってる感じ。
もちろん蜂蜜がたくさんある時はそのお福分けとして戴きますが、少ない時は取らないようにしています。
(ニホンミツバチの蜂蜜は”幻の蜂蜜”と言われ、市場に出回っている蜂蜜の1%程度と言われています)
そうやって蜂たちとお互い様な関係を作っていくと無意味に危害を加えてくるようなことはまずないし、困った時や危険が迫ってきた時などはちゃんと教えに来てくれます。
蜂に限らず人とすべての生きものたちはそうやって心を通わせながら調和した世界を築いていけるんじゃないかって思っています。
ミツバチが増えていくと採蜜と同時に受粉もしてくれているのでまわりの自然は更に豊かになっていきます。
そのミツバチたちがいま地球上から減りつつある。
さまざまなことが原因だと言われていますが、ネオニコチロイド系農薬の原因説や、温暖化や電磁波など、いずれにしても環境が不安定なのはミツバチにとって好ましくないようです。
この地球上からミツバチがいなくなったら世界の3分の2の食物はなくなると言われていて、蜂たちは僕たち人類にとっても欠かせない存在なのです。
今、地球は大きな転換期を迎えているような気がします。
この先の未来 人は自然との関係を見つめ直し共存共栄で共に豊かに繁栄していける道を歩いていけたらいいなって願っています。
今僕らが屋久島から伝えられること
樹や花や虫、そこに生きるすべての生命
なるべく自然の側に立って木や鳥や虫たちからのメッセージを届けていけたらいいなって思っています。